小さく建てる

みなわい

2007年06月13日 07:37

建物を建てるとき、同じ費用で建てるなら大きいほど得をしたと思うのではないでしょうか。

これは絶対間違いです。

住まいは高い買い物ですから、慎重に考え、同じ費用ならば少しでも大きく建てられれば得をしたと考えがちですが、これには大きな間違いがあります。

ものを造るには費用がかかります。

もちろん、造る人や企業によってかかる費用の違いは多少ありますが、本質的にはローコストメーカーが言うほど大きな違いはありません。
それなのに違いがでるということは、どこかで手を抜いているもしくは本当は必要なことだけど省いているというのが実情なのです。

それが、一般の人にわからないところで行われているからかえって問題なのです。

決められた費用の中で、大きな建物を建てるということは、建物の坪単価がさがるということです。
坪単価が下がるということは、あまり良い材料が使えない、または、単価の安い(腕の良くない)職人さんに仕事をしてもらうということになります。

実際、ローコスト住宅で躍進中のメーカーなどの大工手間は、Mドナルドのアルバイト代とさほど変わらないと聞いています。

また、そういうメーカーに限って、この値段でこんな設備までついていますよと宣伝しています。
高価な設備にお金がかかっているということは、その他の費用をいかに安く絞っているかということです。
ハウスメーカーですから、その中でまだ企業の利益をあげています。

まともな建物が出来るはずがないのですが、宣伝に乗せられて大きな建物を安く作れることは良いことだと刷り込まれてしまっているのです。

それでは、どうしたら良いのでしょうか。

小さくても、使い勝手が大きい住宅と変わらないものを造ればいいのです。

ケーキなどを買うのに、大きければ良いとは思わないでしょう。大きいだけのケーキはおなかを満たしてはくれますが、心は満たしてくれないような気がします。

それと同じで、大きな住まいで、一応すべての機能は満たされているが、単価が安いためにすべてを最低の仕上げ材などで造っても、決して満足感は得られないと思います。
そこには、建物を所有するという目的に対する達成感が残るとともにローンもあわせて残るいうことです。

小さく建てても大きな住まいと同じようなもの。
こんな魔法のようなことがあるのでしょうか。

簡単なことです。

住まいの設計に力を入れるということです。

人それぞれ生活の仕方が違います。望む希望も違いますが、ハウスメーカーなどで造られる住まいはほとんど同じような感じですね。

プレハブ企画住宅という制約のせいでもありますが、大きな理由は設計に力を入れていないということがあげられます。
建築士ではなく、営業マンがお客さんの要望を聞いてプランニングする。
そうして、予算が足りなければ材料をどんどん落として答えをだすというやり方ですから、そんな風になっても仕方がないことです。

私たち設計事務所では、設計にとにかく時間をかけます。
それも図面を書くという作業よりも、お客さんの思いを聞き取るということに時間を使います。

そうすると住まい手の方々のそれぞれ求めておられる中身が細かな部分まで見えてきます。
そこでプランニングに入ると、無駄な部分がそぎ落とすことができ、「小さくても充分な使い勝手がある住まい」が完成します。

小さくても大きな利用勝手のある住まいは、坪単価が高くなりますが総額は変わりません。
坪単価が高い住まいなら、良い材料が使えたり、良い職人さんに仕事をしていただくことが可能になります。

設計という作業を営業手段に使ったり、単純に申請作業と捕らえたりするケースが多いのですが、それでは絶対良い結果は得られません。

私は設計事務所をしていますから、その宣伝のようなブログ内容になっていますが、これは絶対間違いではありません。

設計の段階で道を間違えば、後でいくら修正を加えても良い住まいをつくり上げることは難しいでしょう。

小さく建てて、大きな使い勝手。

これが良い建物を造る秘訣です。

おまけとして、不動産の税金も安くなりますし、住まいの掃除なども楽なこともあります。。。。。


関連記事