2010年01月19日
ご挨拶と住まいの小学校(第3・4回)報告
みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします!
琵琶湖博物館、nakatyです。
一年前の出会いからうまれた木考塾の方々とのご縁を、
この一年あたためてこれたことに、深く感謝いたしております。
また、「近江昔くらし倶楽部」などの活動の中で、
県内の工務店、設計士の方々とご縁もでき、
年末には、瀬田丘陵にある「びわこ文化公園」で
「公園サロンつくり隊」の活動をされている
金子龍太郎さん(NPO森の風音代表、龍谷大教授)にも
巡りあい、「住」についての新年の展開が楽しみです。
大変遅ればせながら、第3・4回の
住まいの小学校についての実施報告をさせていただき、
今後につなげていきたいと思っています。
【第3回 住まいの小学校】
10月25日(日)、鈴木有先生に
「わが家の住まいと暮らし-エコロジー住宅で地震に備える-」
と題してご自身の改築の体験談をお話いただきました。
参加者25名一人ひとりの心に深く問いかける内容でした。
当日の参加者の青柳陽子さんが
パワーアップニュース 61号
(パワーアッププランニング編集発行)の紙面に
当日の様子と感想を投稿くださいました。
また、NPO法人碧いびわ湖の代表、村上悟さんは
「住まいが変われば 暮らしが変わる」と題し
これからの住宅のあり方について提案されています。
ブログ http://aoibiwako.shiga-saku.net/
(12月30日の記事)
【第4回】
12月2日(水)、びわ湖・まるエコ・DAY2009の展示会場となった会議室で、
木考塾代表の岩波さん、滋賀の教師塾の学生さん、はしかけ会員、
まるエコDAY参加者など7名が集い、
今の住まいと暮らしについて自由に学びあい意見交換しました。
当初予定していた「資源が循環する住まいと暮らしの体験館(仮)
構想について」の話はほとんどできませんでしたが、
さまざまな立場の方々と交流でき、有意義な時間となりました。
今後は、1,2月の間に一度くらい「住まいの小学校」
が開催できたらなあと思っています。
追伸
2月6日に、龍谷大学瀬田キャンパスで
法隆寺最後の宮大工故西岡常一氏の唯一の内弟子である
小川三夫さんがお話されるのでご案内します。
#『木のいのち木のこころ』天・地・人
(西岡常一、小川三夫、塩野米松著)(草思社)
は何度も読みました。ぜひとも参加したいです。
詳細は、以下のとおりです。
◆討論会「自然と共生する持続可能な近未来社会:温故知新」
瀬田丘陵にある「びわこ文化公園」にみんなが楽しめる活動拠点を
つくろうとしている「公園サロンつくり隊」が主催で興味深い討論会を
開催します。
*2月6日(土)13時30分~16時30分 龍谷大学瀬田キャンパス
4号館209教室にて(参加無料)
”伝統工法の木造建物とナチュラル・ガーデンの「家庭」”と題して、
以下の3名が話題提供します。
・小川三夫氏(法隆寺最後の宮大工・故西岡常一氏の唯一の内弟子)
・ポール・スミザー氏(イングリッシュ・ナチュラル・ガーデンの第一人者)
・金子龍太郎氏(環境福祉をめざす龍谷大学教授、NPO法人森の風音代表)
◎問い合わせ:公園サロンつくり隊事務局
FAX:077-544-7209、メール:rkaneko@soc.ryukok.ac.jp
<近江昔くらし倶楽部の活動予定「工房通信」
http://lbmmukashi.shiga-saku.net/ からの抜粋です>
琵琶湖博物館、nakatyです。
一年前の出会いからうまれた木考塾の方々とのご縁を、
この一年あたためてこれたことに、深く感謝いたしております。
また、「近江昔くらし倶楽部」などの活動の中で、
県内の工務店、設計士の方々とご縁もでき、
年末には、瀬田丘陵にある「びわこ文化公園」で
「公園サロンつくり隊」の活動をされている
金子龍太郎さん(NPO森の風音代表、龍谷大教授)にも
巡りあい、「住」についての新年の展開が楽しみです。
大変遅ればせながら、第3・4回の
住まいの小学校についての実施報告をさせていただき、
今後につなげていきたいと思っています。
【第3回 住まいの小学校】
10月25日(日)、鈴木有先生に
「わが家の住まいと暮らし-エコロジー住宅で地震に備える-」
と題してご自身の改築の体験談をお話いただきました。
参加者25名一人ひとりの心に深く問いかける内容でした。
当日の参加者の青柳陽子さんが
パワーアップニュース 61号
(パワーアッププランニング編集発行)の紙面に
当日の様子と感想を投稿くださいました。
また、NPO法人碧いびわ湖の代表、村上悟さんは
「住まいが変われば 暮らしが変わる」と題し
これからの住宅のあり方について提案されています。
ブログ http://aoibiwako.shiga-saku.net/
(12月30日の記事)
【第4回】
12月2日(水)、びわ湖・まるエコ・DAY2009の展示会場となった会議室で、
木考塾代表の岩波さん、滋賀の教師塾の学生さん、はしかけ会員、
まるエコDAY参加者など7名が集い、
今の住まいと暮らしについて自由に学びあい意見交換しました。
当初予定していた「資源が循環する住まいと暮らしの体験館(仮)
構想について」の話はほとんどできませんでしたが、
さまざまな立場の方々と交流でき、有意義な時間となりました。
今後は、1,2月の間に一度くらい「住まいの小学校」
が開催できたらなあと思っています。
追伸
2月6日に、龍谷大学瀬田キャンパスで
法隆寺最後の宮大工故西岡常一氏の唯一の内弟子である
小川三夫さんがお話されるのでご案内します。
#『木のいのち木のこころ』天・地・人
(西岡常一、小川三夫、塩野米松著)(草思社)
は何度も読みました。ぜひとも参加したいです。
詳細は、以下のとおりです。
◆討論会「自然と共生する持続可能な近未来社会:温故知新」
瀬田丘陵にある「びわこ文化公園」にみんなが楽しめる活動拠点を
つくろうとしている「公園サロンつくり隊」が主催で興味深い討論会を
開催します。
*2月6日(土)13時30分~16時30分 龍谷大学瀬田キャンパス
4号館209教室にて(参加無料)
”伝統工法の木造建物とナチュラル・ガーデンの「家庭」”と題して、
以下の3名が話題提供します。
・小川三夫氏(法隆寺最後の宮大工・故西岡常一氏の唯一の内弟子)
・ポール・スミザー氏(イングリッシュ・ナチュラル・ガーデンの第一人者)
・金子龍太郎氏(環境福祉をめざす龍谷大学教授、NPO法人森の風音代表)
◎問い合わせ:公園サロンつくり隊事務局
FAX:077-544-7209、メール:rkaneko@soc.ryukok.ac.jp
<近江昔くらし倶楽部の活動予定「工房通信」
http://lbmmukashi.shiga-saku.net/ からの抜粋です>
2009年10月30日
感想・・・・
先日の第3回住まいの小学校の参加者の方の感想をご紹介
・快適な家、手間のかかる家、暮らし、生き方、考えるよい機会になりました。
・お話を聞いていて、繋った思いで集っている講演会なんだなと思いました。
・署名活動がおきるように協力していきたいです。暮らしの発見は、日常の暮ら
しの中からきっと見つかると思います。今日はありがとうございました。
・感謝する、感動する日々の暮らしはどうすれば拡がるのか?
・『住』から、「消費者」ではなく「生活者」の視点をもって、生き方を考える
ひとつの機会になりました。ありがとうございました。 設計者さん、建築業者
さんと一般市民との対話できる場を別に設けられたらよいのではないでしょうか。
・非常に理想的な住まいと。が、メンテナンス的な作業も大きくなる。とすれ
ば、子供の同居が必至となりそうに思う。一方、小生の様な子供が居ず、実家か
らはなれ兄弟と別居(家族毎に)している中では、第一歩から無理と考えざるを
得ないと思う。(高原正成)
・木考塾のプロの方から、たとえばファッションのプロの方へ共同出来る方向を
作れないものか。
いろいろ感想をいただき、ありがとうございます!
新しい出会い、発見のある有意義な会でした。
今後も頑張っていきたいと思います。
・快適な家、手間のかかる家、暮らし、生き方、考えるよい機会になりました。
・お話を聞いていて、繋った思いで集っている講演会なんだなと思いました。
・署名活動がおきるように協力していきたいです。暮らしの発見は、日常の暮ら
しの中からきっと見つかると思います。今日はありがとうございました。
・感謝する、感動する日々の暮らしはどうすれば拡がるのか?
・『住』から、「消費者」ではなく「生活者」の視点をもって、生き方を考える
ひとつの機会になりました。ありがとうございました。 設計者さん、建築業者
さんと一般市民との対話できる場を別に設けられたらよいのではないでしょうか。
・非常に理想的な住まいと。が、メンテナンス的な作業も大きくなる。とすれ
ば、子供の同居が必至となりそうに思う。一方、小生の様な子供が居ず、実家か
らはなれ兄弟と別居(家族毎に)している中では、第一歩から無理と考えざるを
得ないと思う。(高原正成)
・木考塾のプロの方から、たとえばファッションのプロの方へ共同出来る方向を
作れないものか。
いろいろ感想をいただき、ありがとうございます!
新しい出会い、発見のある有意義な会でした。
今後も頑張っていきたいと思います。
2009年10月29日
住まいが変われば、暮らしが変わる
今回は、自らの住まいを
資源を循環させ、環境と共生し持続可能な生活ができるように変身させ、日々充実感のある暮らしを送っていらっしゃる鈴木有先生のお話をおうかがいしました。
雨も晴れも生活に生かせる住まい。
自然素材に見守られ季節を敏感に感じ、微生物にも気を配り学ぶ暮らし。
ちょっと手間のかかることはあってもそれを楽しんで心豊かに暮らせていますとのこと。
現代の技術を取り込んで、現代的な生活水準の質をほどほどに保ちながら、昔の民家の暮らしの精神を生かした住まい。
この住まいの暮らしは、「人間として本来の豊かさとは何か?」を見直す時間となった。
そうおっしゃています。
先生の実践されている内容を物理的に考えれば、費用が・・・とか手間が・・・・とかで、
無理だなぁという結論になってしまう人も多いかもしれません。
でも、大切なのは、
住まいが変わり、自然との共生を重視する価値観が確かなものになった。
暮らしが変わり、人も変わった。
人が変わると、自分の周りの人との関係もより強いつながりとなり、新たなつながりも増えていった。
こうお話されていることなのでは、ないでしょうか。
たかが住まい・・・されど住まい。
心を失わずに豊かな暮らしをするための大切なもの。
それをどうやって実現していけばよいのか、
どうやって大切なものだと伝えていけばよいのか、
みんなで、もっともっと考えて行きたいと思います。
これは住まい手だけでなく、つくり手も今こそ考えるべき時です。
大切な住まいをつくりあげるものたちから、真剣に本当によい住まいとは何か、自問自答しなければなりません。
そうでなければ多くの住まい手に伝わらないのですから。
後半はみんなで
先生の地元の和菓子を、木考塾のメンバーが用意してくれた杉のへぎ板にのせていただきながら座談会。
いろいろな意見や考え方が出てきて、有意義な時間でした。
共通していたのは、
未来に向けて、
ちゃんと伝えていかなあかん!
ちゃんと考えていかなあかん!
といったところでしょうか。
住まいについて、いろいろ考えてみようと思われる方、ぜひ参加してみてください。
資源を循環させ、環境と共生し持続可能な生活ができるように変身させ、日々充実感のある暮らしを送っていらっしゃる鈴木有先生のお話をおうかがいしました。
雨も晴れも生活に生かせる住まい。
自然素材に見守られ季節を敏感に感じ、微生物にも気を配り学ぶ暮らし。
ちょっと手間のかかることはあってもそれを楽しんで心豊かに暮らせていますとのこと。
現代の技術を取り込んで、現代的な生活水準の質をほどほどに保ちながら、昔の民家の暮らしの精神を生かした住まい。
この住まいの暮らしは、「人間として本来の豊かさとは何か?」を見直す時間となった。
そうおっしゃています。
先生の実践されている内容を物理的に考えれば、費用が・・・とか手間が・・・・とかで、
無理だなぁという結論になってしまう人も多いかもしれません。
でも、大切なのは、
住まいが変わり、自然との共生を重視する価値観が確かなものになった。
暮らしが変わり、人も変わった。
人が変わると、自分の周りの人との関係もより強いつながりとなり、新たなつながりも増えていった。
こうお話されていることなのでは、ないでしょうか。
たかが住まい・・・されど住まい。
心を失わずに豊かな暮らしをするための大切なもの。
それをどうやって実現していけばよいのか、
どうやって大切なものだと伝えていけばよいのか、
みんなで、もっともっと考えて行きたいと思います。
これは住まい手だけでなく、つくり手も今こそ考えるべき時です。
大切な住まいをつくりあげるものたちから、真剣に本当によい住まいとは何か、自問自答しなければなりません。
そうでなければ多くの住まい手に伝わらないのですから。
後半はみんなで
先生の地元の和菓子を、木考塾のメンバーが用意してくれた杉のへぎ板にのせていただきながら座談会。
いろいろな意見や考え方が出てきて、有意義な時間でした。
共通していたのは、
未来に向けて、
ちゃんと伝えていかなあかん!
ちゃんと考えていかなあかん!
といったところでしょうか。
住まいについて、いろいろ考えてみようと思われる方、ぜひ参加してみてください。
2009年10月16日
食育に負けない住育
まずは・・・・
先日、お知らせした第3回住まいの小学校
<第3回>
日時:10月25日(日)13時30分~16時30分
会場:琵琶湖博物館 セミナー室
話題提供:鈴木 有さん(木考塾会員、木構造研究者)
「わが家の住まいと暮らし-エコロジー住宅で地震に備える-」
参考文献:
鈴木有・鈴木ゆみ「雨も嬉し、晴も好し」
(建築防災 2002年2月号、財団法人日本建築防災協会 発行)
今回の資料を開催に先立っていただきました。
事前に目を通してご参加いただければと思います!
資料1・資料2
では、本題へ
先日ある先生から、こんなお話をお聞きしました。
伝統的木造住宅は、文化伝統の継承にもっとも必要な「人の心」を育てるということです。
私はこれを「住育の力」と呼んでいます。
この頃「食育」ということが言われ、栄養を満たすだけでなく、何をどのように食べるか、食べ物の背景を知ることが大切だという認識が広がっています。どこに住むか、どのような家に住むかということも、同じくらい大事なんです。
科学的な能力を育てる
幼い頃、風邪を引いて休んでいる時、天井をながめて、いろいろな想像を豊かにした記憶があります。
昔の家には、すだれ障子、かまど、消しつぼ、がんどう、ねずみ返し、蔵の二重扉など、先人の工夫やたくさんつまっています。
見て、どうなっているのか考える。
なんのためにこうしているのかな、よくできているな。よく観察し、推論し、理解することは、こどもたちの想像力を育みます。
想像力は、科学的な能力の根源であり、創造力へと結びついていきます。
こどもたちを伝統木造住宅の中にほうりだしてあげると、建物の中でさまざまな発見をしますよ。
古民家の構造、機能、生活の工夫を知り、昔の生活用具を使ってみる。
これは想像力の向上につながり、ひいては創造力、道徳的、科学的能力の向上につながります。
ものとの対話
伝統木造住宅には、建物を長く使い続けられる工夫がたくさんあったり、材料をうまく使い回していたりします。
それを発見することで、「もったいない」という心を知り、それが「ものを大事にしよう」「他者をいつくしむ」という道徳的能力の根源につながります。
伝統木造住宅には、季節のきびしさをしのぐ、季節の移ろい楽しむしつらえもたくさんあります。
夏には建具をすだれ障子に変えることで風通しを確保し、見た目にも涼しく過ごしました。
また、縁側を通して庭とつながっている生活空間には、いつも季節感がありました。
文化財クラスになると、伝統木造住宅を作った人は、もう亡くなっています。
しかし、ことばをしゃべってくれない「もの」を通じて、想像をはたらかせることによって、昔の人や未来の人とさえ、コミュニケーションができるのです。
ものを、他者を、過去や未来の人を、動植物を、自然を大事にする心が育つ場が、今のこどもたちには必要ではないでしょうか。
現代の住宅は人を育てているか?
かつての英国の宰相であるチャーチルは「人は家をつくり、家は人をつくる」と言いました。
伝統木造住宅は「人をつくる」最高の教室であると私は思います。
現在の住宅は機能的で、無駄が無い、ただの箱です。
かくれんぼする空間すらありません。
そういう家で、想像力が育まれていくのだろうか、と危機感を覚えます。
我が家に学びに来る子の中に「先生の家にはなんで広い庭があって、松が3本もあるの?」という子がいるんです。自然と隔絶した、雨露をしのぐだけの箱に住んでいると、自然と融合していた昔の家が不思議に見えるんですね。
それでも、住んだことがあるはずもなく、親世代ですら伝統木造住宅に住んでいないのに「なんか、ここはなつかしい」という子もいます。
やはり、日本人の遺伝子の中にある何かが、伝統木造住宅にはあるんですね。それを子どもたちは感じているんです。
たとえ今、伝統木造住宅に住んでいなくても伝統木造住宅の空間には、現代の建物とはちがった、親しみやすさ、落ち着き、自然との一体になったやすらぎがあります。
たとえば、専門家の話を聞くのでも、壇上からというのでなく、同じ目線で学べます。
音楽や朗読など芸術を味わうにも、落ち着いてあたたかい雰囲気の中で楽します。
建物と庭とが自然につながっていて、季節の営みを感じとることができます。
住んではいなくても、文化財を訪れ、文化財を活用したイベントなどの機会を利用し、想像力をはたらかせ、自然と融合する体験を、していただければと思います。
つくり手の役割
子どもたちに伝える
木の家のよさを伝える
文化を大切に思う心が消滅しかけています。これが何より重要な問題です。
つくり手のみなさんには、学校に言って話をしてほしいです。文化や伝統を大切にする心を育てるために、どこの学校にも道徳の授業があります。こどもへの出前授業をしたいと言えば、必ず受け入れてくれるはずです。それから、大工さんは危ないから、と言わず、こどもに現場を見せてあげてください。
文化や伝統を大切にすることは過去に向うことではありません。
むしろ、豊かな感性や想像力を育て、文化を発展させていこうとする意欲を育てることにつながります。
長い将来にわたって文化の担い手になるような、平成生まれの民家をつくっているんだ、という気概をもって、家づくりをしていただきたいです。
そして、長持ちする家づくりについて、もっともっと説明できるようになってください。
長い時間の間に木材の強度がどのように変化していくのか、接着剤を使った合板などと製材とで、金物接合と木組みとで、経年変化においてどのような違いがあるのか、本当に長持ちする基礎の構造とは何なのか?
そういったことをきちんと説明できるようになることで、住みやすく、耐久性が高く、住育の力をもった伝統型の木造住宅がもっと広がっていくはずです。それを切に願っています。
私たちはこのお話と同じ想いで、住まいの小学校を開催しています。
食だけでなく、住まいにも目を向けていただきたいです。
どちらもとても大切な大切なことなのです。
ぜひ一緒に考えてみませんか?
先日、お知らせした第3回住まいの小学校
<第3回>
日時:10月25日(日)13時30分~16時30分
会場:琵琶湖博物館 セミナー室
話題提供:鈴木 有さん(木考塾会員、木構造研究者)
「わが家の住まいと暮らし-エコロジー住宅で地震に備える-」
参考文献:
鈴木有・鈴木ゆみ「雨も嬉し、晴も好し」
(建築防災 2002年2月号、財団法人日本建築防災協会 発行)
今回の資料を開催に先立っていただきました。
事前に目を通してご参加いただければと思います!
資料1・資料2
では、本題へ
先日ある先生から、こんなお話をお聞きしました。
伝統的木造住宅は、文化伝統の継承にもっとも必要な「人の心」を育てるということです。
私はこれを「住育の力」と呼んでいます。
この頃「食育」ということが言われ、栄養を満たすだけでなく、何をどのように食べるか、食べ物の背景を知ることが大切だという認識が広がっています。どこに住むか、どのような家に住むかということも、同じくらい大事なんです。
科学的な能力を育てる
幼い頃、風邪を引いて休んでいる時、天井をながめて、いろいろな想像を豊かにした記憶があります。
昔の家には、すだれ障子、かまど、消しつぼ、がんどう、ねずみ返し、蔵の二重扉など、先人の工夫やたくさんつまっています。
見て、どうなっているのか考える。
なんのためにこうしているのかな、よくできているな。よく観察し、推論し、理解することは、こどもたちの想像力を育みます。
想像力は、科学的な能力の根源であり、創造力へと結びついていきます。
こどもたちを伝統木造住宅の中にほうりだしてあげると、建物の中でさまざまな発見をしますよ。
古民家の構造、機能、生活の工夫を知り、昔の生活用具を使ってみる。
これは想像力の向上につながり、ひいては創造力、道徳的、科学的能力の向上につながります。
ものとの対話
伝統木造住宅には、建物を長く使い続けられる工夫がたくさんあったり、材料をうまく使い回していたりします。
それを発見することで、「もったいない」という心を知り、それが「ものを大事にしよう」「他者をいつくしむ」という道徳的能力の根源につながります。
伝統木造住宅には、季節のきびしさをしのぐ、季節の移ろい楽しむしつらえもたくさんあります。
夏には建具をすだれ障子に変えることで風通しを確保し、見た目にも涼しく過ごしました。
また、縁側を通して庭とつながっている生活空間には、いつも季節感がありました。
文化財クラスになると、伝統木造住宅を作った人は、もう亡くなっています。
しかし、ことばをしゃべってくれない「もの」を通じて、想像をはたらかせることによって、昔の人や未来の人とさえ、コミュニケーションができるのです。
ものを、他者を、過去や未来の人を、動植物を、自然を大事にする心が育つ場が、今のこどもたちには必要ではないでしょうか。
現代の住宅は人を育てているか?
かつての英国の宰相であるチャーチルは「人は家をつくり、家は人をつくる」と言いました。
伝統木造住宅は「人をつくる」最高の教室であると私は思います。
現在の住宅は機能的で、無駄が無い、ただの箱です。
かくれんぼする空間すらありません。
そういう家で、想像力が育まれていくのだろうか、と危機感を覚えます。
我が家に学びに来る子の中に「先生の家にはなんで広い庭があって、松が3本もあるの?」という子がいるんです。自然と隔絶した、雨露をしのぐだけの箱に住んでいると、自然と融合していた昔の家が不思議に見えるんですね。
それでも、住んだことがあるはずもなく、親世代ですら伝統木造住宅に住んでいないのに「なんか、ここはなつかしい」という子もいます。
やはり、日本人の遺伝子の中にある何かが、伝統木造住宅にはあるんですね。それを子どもたちは感じているんです。
たとえ今、伝統木造住宅に住んでいなくても伝統木造住宅の空間には、現代の建物とはちがった、親しみやすさ、落ち着き、自然との一体になったやすらぎがあります。
たとえば、専門家の話を聞くのでも、壇上からというのでなく、同じ目線で学べます。
音楽や朗読など芸術を味わうにも、落ち着いてあたたかい雰囲気の中で楽します。
建物と庭とが自然につながっていて、季節の営みを感じとることができます。
住んではいなくても、文化財を訪れ、文化財を活用したイベントなどの機会を利用し、想像力をはたらかせ、自然と融合する体験を、していただければと思います。
つくり手の役割
子どもたちに伝える
木の家のよさを伝える
文化を大切に思う心が消滅しかけています。これが何より重要な問題です。
つくり手のみなさんには、学校に言って話をしてほしいです。文化や伝統を大切にする心を育てるために、どこの学校にも道徳の授業があります。こどもへの出前授業をしたいと言えば、必ず受け入れてくれるはずです。それから、大工さんは危ないから、と言わず、こどもに現場を見せてあげてください。
文化や伝統を大切にすることは過去に向うことではありません。
むしろ、豊かな感性や想像力を育て、文化を発展させていこうとする意欲を育てることにつながります。
長い将来にわたって文化の担い手になるような、平成生まれの民家をつくっているんだ、という気概をもって、家づくりをしていただきたいです。
そして、長持ちする家づくりについて、もっともっと説明できるようになってください。
長い時間の間に木材の強度がどのように変化していくのか、接着剤を使った合板などと製材とで、金物接合と木組みとで、経年変化においてどのような違いがあるのか、本当に長持ちする基礎の構造とは何なのか?
そういったことをきちんと説明できるようになることで、住みやすく、耐久性が高く、住育の力をもった伝統型の木造住宅がもっと広がっていくはずです。それを切に願っています。
私たちはこのお話と同じ想いで、住まいの小学校を開催しています。
食だけでなく、住まいにも目を向けていただきたいです。
どちらもとても大切な大切なことなのです。
ぜひ一緒に考えてみませんか?
2009年10月07日
第3・4回住まいの小学校のお知らせ
琵琶湖博物館、nakatyです。
前回のまとめもまだですが、第3回と4回の
住まいの小学校の日程と内容が決まりましたので、
とりいそぎ、お知らせします!
(詳細は後日改めて)
<第3回>
日時:10月25日(日)13時30分~16時30分
会場:琵琶湖博物館 セミナー室
話題提供:鈴木 有さん(木考塾会員、木構造研究者)
「わが家の住まいと暮らし-エコロジー住宅で地震に備える-」
参考文献:
鈴木有・鈴木ゆみ「雨も嬉し、晴も好し」
(建築防災 2002年2月号、財団法人日本建築防災協会 発行)
<第4回>びわ湖・まるエコ・DAY2009 交流イベント
日時:12月2日(水)13時30分~16時
会場:琵琶湖博物館 会議室
テーマ:資源が循環する住まいと暮らしの体験館(仮)構想について
ぜひとも、みなさまのご参加をお待ちいたしております!
前回のまとめもまだですが、第3回と4回の
住まいの小学校の日程と内容が決まりましたので、
とりいそぎ、お知らせします!
(詳細は後日改めて)
<第3回>
日時:10月25日(日)13時30分~16時30分
会場:琵琶湖博物館 セミナー室
話題提供:鈴木 有さん(木考塾会員、木構造研究者)
「わが家の住まいと暮らし-エコロジー住宅で地震に備える-」
参考文献:
鈴木有・鈴木ゆみ「雨も嬉し、晴も好し」
(建築防災 2002年2月号、財団法人日本建築防災協会 発行)
<第4回>びわ湖・まるエコ・DAY2009 交流イベント
日時:12月2日(水)13時30分~16時
会場:琵琶湖博物館 会議室
テーマ:資源が循環する住まいと暮らしの体験館(仮)構想について
ぜひとも、みなさまのご参加をお待ちいたしております!