2008年06月30日

時給2500円

時給2500円。

おっface08
高い時給だなと思われますか。

一日8時間働くと2万円。
確かにアルバイトであれば、良い単価ですね。

実は、これは職人さんの手間賃です。
高いか安いか考えて見ましょう。
一週間のうち2日休むとして、年間の5分の2を働くとすると、365÷7×5=260.7日。盆も正月も、祭日もあるから、年間の労働日数は約250日。

そうすると、年収が2万×250日=500万ということになります。
これを高いと考えるか、安いと考えるか。
少なくとも高いことはありませんね。
サラリーマンの場合、年収のほとんどが自分の収入になりますが、職人さんの場合、収入の中から自分の乗る車の費用、仕事で使う携帯電話の費用、自分が使う道具の費用などを出さなければなりません。

通常の会社なら、経費と人件費の割合は1対1ぐらい。
そうすると実質の年収は250万face08ということになってしまいます。

実際はどうかというと、職人さんの休みは日曜日だけです。
土曜も祭日も休まれないことが多い。
そんな働き方で、何とか年収を確保しているのが実体だと思います。

しかし、その年収を脅かすローコスト住宅があります。
大工職人の手間を1万円以下face08face08しか払わない。

それでも人件費が高いからといって、機械化や工業化を進める。
その割にはコマーシャルで芸能人に高い費用を払ったり、営業マンに歩合制で多額の成功報酬を払ったり、おかしな住まいづくりが蔓延していますicon08icon08

職人さんの仕事を減らし、手間賃を削って造られる住まいってどんなものでしょう。

外から見たら変わりは無くても、おかしなものができて当たり前です。
もし、おかしなものでないとしたら、くじに当たったようなものと考えるべきではないかと思います。

職人さんにちゃんと費用を支払って、きっちり住まいを建てれば数百万円ぐらいの差が確かに出てきます。
ただ、一生住む家ということを考えたとき、どちらが良いのでしょうか。

2000万~3000万ぐらい住まいにおいて2割ぐらいの違い。
高いものを買うのだから、ちゃんと費用を払うべきだというのと高い費用だからどうしてももう出す費用捻出できない。
どちらの考え方もあると思いますが、出来上がる住まいはプロの目から見たら違うのは歴然です。

ちゃんとした費用をいただいて丁寧に仕事をするのと、急いで次の仕事にかからないと食べていけないのと、同じ事をしても仕事が違うのは当たり前ですね。
ただ、職人さんもプロです。
アマチュアの住まい手の方に分かるような手の抜き方はしませんね。
それだけにタチが悪いと言えます。

私たちがお付き合いさせていただいている職人さんたちは、まじめでちゃんとした職人さんばかりです。
その職人さんたちが、今、困っています。
丁寧な仕事をしようとしても、安くて良いものがあるような宣伝がどんどんされます。
落ち着いて考えれば、そんなうまい話は無いのですが、どうしてもそんな話に引っ張られてしまう。

安くて良い「木の住まい」。そんなものはありません。
みんな、少しでも高くならないように努力はしていますが、ローコストということはありえないのです。

一生住む家。
どこにお金をかけて、どんな風に造っていくか。
そんなお手伝いをするのが私、設計事務所の仕事の大きな部分です。

設計事務所はデザイナーだと勘違いされています(デザイナーの方もおられますが)

オーケストラの指揮者のような仕事だと思っています。
でも、指揮者がどんなに頑張っても、演奏家がすばらしい腕を持っていても、おなかがすいて倒れそうな状態icon11ならどうしようもありませんね。



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