2007年09月19日

ベタ基礎

以前、基礎のお話をしました。

基礎の立ち上がりの部分のフックが大事なのですよとお話しましたね。

今日は、最近多くなってきたベタ基礎のお話をしたいと思います。
ベタ基礎とは、昔からある逆T型の基礎ではなく、建物の下部全体がコンクリートのスラブ(床板のこと)になっている基礎です。
そのため、建物の重さを受ける面積が大きいため、軟弱な地盤でも不同沈下を起こさないということで、最近採用されることが多くなりました。
ベタ基礎は、先ほども書いたように、建物の下部に土の部分が残らないため、シロアリ対策にも有効であると考えられています。(土の部分が残らないのはかえってシロアリに良くないという主張もあります)

建物を丈夫にするためには基礎を丈夫にしようという考え方が定着してきているのがベタ基礎が採用されるようになった原因ですが、本当のところは意外とコスト高にならないというのが大きな要因であるともいえます。
従来の逆T型の基礎に、シロアリ対策や防湿のためのコンクリートを後ほど打つと、工程が一回余分にかかり、ベタ基礎より余計に費用がかかってしまうこともあるのです。

まあ、理由はどうあれ、少しでも強い基礎が採用されていることは好ましいことです。

じゃあ、ベタ基礎なら何でも良いのかというのが今日の本題です。

先ほども書いたように、ベタ基礎は建物全体の重さを大きなスラブで支えるため、スラブの大きさによって本来使う鉄筋の種類やピッチを変えなければならないのです。(詳しい話は専門的になりすぎるので省略させていただきます)
そういったことを何も考えずに、「私どもの建物はベタ基礎ですから強いです」と言っている住宅メーカーがほとんどです。
コンクリートの立ち上がりで区画された面積が大きいほど、使う鉄筋を太くしたり、ピッチを細かくしたりする必要があるのですが、そんなことは考えていないケースがほとんどです。
鉄筋の太さやピッチは構造計算をしないと決めることが出来ません。
木造2階建ての建物は法律で計算が省略できることになっているので、それを良いことに細い配筋で済ましていることが多いのです。
構造計算を省略するならば、安全のため太目の鉄筋を使ったりすべきなのですが、法律で求められなければ少しでも安いほうになびいてしまうのが住宅産業の現状です。

とりあえず、ベタ基礎なら安心という考え方はやめたほうが良いと思います。
ちゃんとした根拠のある基礎をしておくことは、長い将来の安心を得ることが可能です。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、実際の鉄筋の太さの違いをご紹介します。(両方とも鉄筋のピッチは20cmです。太さの違いがわかっていただけるかな?)

まず、細い鉄筋(D10)。
ベタ基礎

次に少し太い鉄筋(D13)。
ベタ基礎

少しわかりにくいかもしれませんが、この微妙な違いで建物の耐力はまったく違うものになるのですよ。

どこでも太い鉄筋を入れれば強いのは間違いありませんが、お金が余分にかかってしまいます。
必要な部分に必要な鉄筋。
これが、丈夫なベタ基礎の作り方です。



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