2007年10月03日

されど引き戸

最近、住まいの設計をしていると引戸を希望される方が非常に多いです。

バリアフリーのこととか、ドアのように開けるスペースがいらないことなどで、希望されます。
中にはなんでもかんでも引き戸しかだめ!face08って思っておられる方もいらっしゃるのではないかなーと思いますが、いかがでしょうか?

引戸や引違い戸は日本の文化みたいなところもあるので、引き戸が見直されていることは、それはそれでよい傾向でもあるんですが・・・・・。

なんでもかんでも引戸となると問題もあります。
引戸には引戸の良さがありますが、開き戸にも、きちんと納まる良さがあります。
そのあたりは適材適所として考えた方がよいと思います。

引き戸にすることで起こる問題って何?

なんでもかんでも引戸となると困るのが耐震問題icon10

私の事務所では木造2階建の住宅であってもすべての建物に構造計算を行なっています。
(一般の住宅程度の規模なら木造2階建てでは、構造計算しなければならない決まりはありません。簡易計算で済ませられます)
この構造計算をすると、
通常の簡易計算より筋違本数など耐震的に配慮しなければならない壁が多く必要になるケースが多いです。
そういったときに引戸の引き残し部分の壁が耐力壁に使えないと大きな問題になります。

引戸が引き込まれていくので、その部分の壁の厚さは半分ぐらいになります。
そういった部分に筋違は入れられません。
また、耐力壁は数があるだけではだめで、バランスよく配置しなければなりません。
そういったときにこの場所は引戸でなく、開き戸であったらなあと思うこともしばしばあります。

されど引き戸

うちの事務所ではそこのところをきちんと説明して、
住まい手に開き戸であったら、どうしても困る状況になるかどうかじっくり考えてもらいます。
意外と引き戸でなくても困らないことに気づかれることも多いんですよ。
(どうしても引き戸でないと困る時は、耐震的な壁は確保して別の方法で解消したりします。)
大抵の場合、きっちり説明すると、耐震的に必要な場所ならということで理解してくださいます。

いろんな本や情報で、これがいい!っていうことがあれば、
何が何でもそれを実現しなきゃと思い込むと失敗することもあります。

住まい手のことは何でもイエスマンのつくり手と打ち合わせをしていたら、
それこそ大切なことに気づかないこともあります!

引き戸信仰もほどほどにしないと地震のときに危険に・・・・・
どんなに良いことでも、隠された問題があるかもしれません。
あちらをたてればこちらがたたずってことは住まいづくりでは結構あります。

その部分をしっかり考えてくれて、納得できる説明をしてくれる人と住まいづくりをすることが大切です。
あわてず、じっくりゆっくり冷静に考える時間が大切です。



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Posted by ようこせんせい at 23:30│Comments(0)ようこせんせい
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