2007年07月09日

何を持って この建物は安心!と考えるか?

さぁ 今日から一週間が始まります! 休日は あーーっと言うまで 月曜日が来るのが早い・・・
なんて愚痴をこぼさず 今週もがんばりましょうね! face02
(もちろん自分に向って言っておりますよ~
 皆さんは愚痴なんてこぼしませんものね!?)

週末は 京都の町屋で 耐震診断の実習講習会を受けてきました。
京町屋は現在の在来工法とは 違った工法で建てられています。
「木造」と言っても工法はいろいろとあります。

軸組み工法(在来木造・伝統工法) 
壁式工法(2×4工法) 
丸太組工法

京町屋は 軸組み式の伝統工法に入ります。
(実は伝統工法が 1番奥が深く 掴み所がないものかもしれません・・・)

建物で多く使われている工法は RC造・S造・木造 とあり
RC造(コンクリート造)やS造(鉄骨造)は 工学 があり 工法 ができました。
要するに いろいろな実験等を経て 

「この材料で こうやれば こうなる」

と 流れができた上で 造っているのです。
しかし 木造は 工法 が先に出来 工学 が後付けになっています。
今 現在できているものに対して 理由を探しいるのです。
(かなり木造の研究も進んできており 経験だけでなく
いろいろなことがわかってはきましたが・・・)
だから 難しい!

京町屋(今回対診断に使用した)と在来工法の違いは 妻側に梁がないことです。
川柱と言われ 梁がなく 屋根面まで 柱が延びています。
(在来工法の梁については こちらをご覧ください。 )
在来工法とは 全く違った考え方で 建てられています。

木造の「構造計算」は 

※ 建築基準法46条の壁量計算
※ 許容応力度計算
※ 限界耐力計算法
※ エネルギー計算法
※ 時刻歴応答解析

などがあります。

許容応力度計算法は 
建物各々で違ってくる荷重を
柱ごとに拾い 

長期荷重(常にかかっている力)・
短期荷重(地震や台風など 一時的な力)

を求め その力に耐える構造になっているかを調べます。

46条の壁量計算は上記の許容応力度計算を簡易にしたものです。
簡単にできるように バサバサと切り捨ているため
便利ですが 数字に固執すると 大切なことを忘れてしまいます。

限界耐力計算法は (木造に限って言えば)伝統的な軸組み工法を
対象とした計算方法です。

(木造に関して言えば はエネルギー計算法や時刻歴応答解析はほとんど使われていないと考えて良いと思います。)

2000年に限界耐力計算法が使用許可になり
京町屋等が この方法で 計算されるように なりました。
それまでは 無理やり 46条の壁量計算か 許容応力度計算に当てはめていたのです。

挙動特性の違うものを 無理やり計算式に当てはめ
数字 だけに固執することは 間違った計算方法です。
木造の性質を考え その特性に合った計算方法をうまく利用する。
木造は特に 計算に加味されないところが(なんせ工法が先に出来たので)
多くあります。
その部分をきちんと考えられる設計者は 本当は計算など
いらないのかもしれません。
一番怖いのは 
計算さえしていれば 安心!と思っている人たちです。



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Posted by あきこせんせい at 16:32│Comments(0)あきこせんせい
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